商品レビュー・書評

【書評】中島聡 著 『結局、人生はアウトプットで決まる』

【本書の200字要約】

Microsoftで「右クリック」を生み出した伝説のプログラマーでありながら、アルファブロガー、ベストセラー作家の顔も持つ中島聡氏が「情報をアウトプットすることの価値」を説いた本。小手先のテクニック術ではなく「アウトプットにより得られるモノは何か」「なぜ今アウトプットが必要なのか」という本質に迫る。インターネットの普及により誰もが情報発信者になれる現代を、よりよく生きるためのヒントを示す。

0. はじめに。

 

こんにちは、@デデポです。

皆さんは、「尊敬する人物は誰ですか?」と聞かれたときに、どのように答えるでしょうか。

私の場合は何人か名前を挙げられるのですが、そのうちの一人が本書の著者である『中島聡』氏です。

氏を知ったきっかけは、書店で偶然、本書の前作にあたる「なぜ、あなたの仕事は終わらないのか。スピードは最強の武器である」を読んだことです。

当時の私は“内定者”という身分で、来年以降の社会人生活をどう生き抜いていこうかを、不安に感じながら考えていました。そのときにたまたま氏の書籍を見つけ、まさに「雷が落ちた」ような感覚を覚えました。私がこれまでの学生生活の中でイメージしていた「負の社会人像」が完全に崩されたからです。

同時に、もっと社会人に対して明るい希望を持っていこう、自分の未来は自分で切り開いていこう、という勇気ももらいました。社会人になった今でも読み返すくらい大切にしている本です(いずれはこの本のレビューも書きたいです)。

本記事は、そんな『中島聡』氏の最新作をレビューするものになります。

インターネットの普及に伴い、誰もが情報の“発信者”になることができるようになりました。情報伝達ツールが、テレビや新聞のような「マス・メディア」しかなかった時代からは大きく変わり、「大アウトプット時代」へと突入しています。

氏はソフトウェアエンジニアとして長くIT業界に身を置いており、そういったインターネットの普及が人々の生活にどのような影響を及ぼすのかを、常に最前線で見てきたはずです。

もちろん中島氏自身も、ブログ・メルマガ・書籍・講演・Youtubeなど様々な形でアウトプットを続けています。そんな氏が捉えた「アウトプットの価値」を知ることは、この「大アウトプット時代」をよりよく生きるためにヒントになるではないか、と思い、今回購入いたしましたので、レビューしていきたいと思います。

1. アウトプットの価値―パーソナルブランディングとは

 

本書ではアウトプットがもたらす価値として、

①個人のブランド化ができる(パーソナルブランディング)

②集めたインプット情報が整理される

③相手からのフィードバックという形で新たなインプットが得られる

④自分と近い価値観・感性を持った人間と出会える

などを挙げており、特に①の「個人のブランド化」という点を重要視しているように感じました。

個人のブランド化とはすなわち、「個人の名前が、その人の経歴や実績に裏付けされた信頼とともに世の中に知られている」という状態です。

中島氏本人は、ソフトウェア業界では知らない人はいないほどの有名人です。米Microsoft社でWindows95、Internet Explorer3.0/4.0、Windows98の開発に携わり、「右クリック」「ダブルクリック」「ドラック&ドロップ」を生み出した伝説的なプログラマーです(そもそも私は、これらは日本人が生み出したモノであるということに、まず驚きました)。

そのような実績とともに名前が通っているからこそ、自身のビジネスにも多大なメリットが生まれていると言います。例えばこの本が執筆されたのも、氏自身のブランドがあったからに他なりません。

しかし、氏はこのような開発に携わったから有名になったのではありません。有名になったのは「ブログを通じて情報を発信し始めたから」なのです。

もともとは日本にいる家族(氏自身はアメリカ在住)への“生存報告”として始めたブログでしたが、プログラムに関するとある記事がエンジニアの間で話題となり、気がつけばアルファブロガー(トップクラスのPV数を誇るブロガーのこと)になっていた、というのです。

つまり、ブログという媒体を通じたアウトプットがなければ、氏は自身の活躍を世に知られることのない“地上の星”になっていた、ということなのです。

ここに、インターネットというツールの持つ力の大きさと、インターネットを通じた情報のアウトプットの重要性が表れていると思います。

2.アウトプットが苦手な日本人

 

アウトプットには多大なメリットがあるわけですが、日本人は、「書く」「話す」というアウトプットが苦手です。特に、「論理的な意見発表」を行うことができないのです。

この原因として、日本の学校教育に問題があるとしています。

日本の学校では米国のような、プレゼンテーションやディベートの授業が極めて少ないです。これらの能力はビジネスの場に出れば必ず求められるモノですが、結局は個人の努力に委ねられてしまっています。そのために「話す」というアウトプットが著しく苦手な人が多いのです。

また、日本人が「書く」能力が低い理由は、国語の授業に問題があるとしています。国語の授業では、「文章は情報を伝達するツールである」ということを、しっかりと教えてくれないからです。

短く、分かりやすく、論理的な文章を書くための教育が十分になされないまま、読書感想文や詩などの“応用編”をいきなり扱っているのです。こんなちぐはぐは教育方針では、文章嫌いな子供が生まれてしまうのは仕方が無い、と述べています。

この気持ちは痛いほどよく分かります。なぜなら、私自身が典型的な文章嫌いの子供だったからです笑。いつも現代文の点数だけが低かったのを覚えています。

私が「学校では、根本的な文章の読み方・書き方を学べない」ということに気づいたのは、高校生になってからでした。きっかけは、とある受験書を読んだことでした。

そのことに危機感を覚えた私は、両親に打診して“自ら”予備校へ通い始めました。数学等の他の科目は独学でも成績を上げられると思ったのですが、「文章の読み方そのもの」という抽象的な基礎能力の部分は、独学で身につけるは難しいと思ったからです。予備校では、現代文の授業のみを受講し、後は独学で受験を乗り切りました。

当時のモチベーションは「受験で現代文の点数をあげること」「良い小論文を書くこと」ではありましたが、ここで学んだことは、社会人になった今でも生きております。

さて、本書ではそんな「アウトプット下手」な人間への手ほどきもしてあります。中島氏自身がどのように文章嫌いを抜け出したかとか、よいプレゼンとは何か、という内容にも触れてあります。

アウトプットのやり方そのものを知らないままでは、アウトプットがもたらす価値を得ることはできないですからね。

3. なぜ私がブログでのアウトプットを始めたのか

 

さて、少し自分の話をします。実は私がブログを始めた大きな理由の一つが、「インターネットで情報をアウトプットする個人メディアが欲しい」と思ったからです。

AIの普及により、近い将来多くの仕事がなくなると言われていますが、そんな予測不能な時代において「名前が知られている」というのは極めて強力な武器です。

どれだけサラリーマンとして努力をしても、私の名前が社外にまで及ぶことは、まずありません。会社ごと傾くような状況まで考えると、社内で評価されることが必ずしも「安泰」ではないでしょう。

また、サラリーマンの長時間残業、パワハラ、うつなどが社会的な問題となっています。その会社が安定して利益を出せていたとしても、そこで働き続けることが幸せかどうかは、別の話です。

そのような危機感から、私はインターネット上でのアウトプットすることを決めました。会社以外でも情報を発信していくことで、「一つの会社に依存しない」という人生を送りたいのです。

私は「雉鳩ででぽ」というハンドルネームで本ブログを運営しております。もしこのブログが広く知れ渡るようになれば、「雉鳩ででぽ」という名前がブランド化することになります。

もしそのようなことが実現できれば、それがきっかけにして、何か新たなチャンスが生まれるかもしれません。ブログをきっかけにして、人生面白くできている人間が、世の中はたくさんいますからね。

もっとも、氏はこの観点から「ブログは実名の方が良い」と言っています。確かに、パーソナルブランディングの効果を最大限高めるためには、実名ブログの方がよいでしょう。

しかし、日本で実名を晒すことはまだまだ一般的ではありません。それによるリスクも伴います。

また、私自身は単なる新米サラリーマンに過ぎません。学生時代も極めて平凡な生活を送ってきたため、正直言って「ブランド化するための実績」が特にないのです。これまでに何か大きなことを成し遂げたのであれば、実名を公開し、その実名と実績とを紐付けることでブランディングの第一歩になるのでしょうが…

というわけで、実績はこれから作っていく、くらいの気持ちで、今はいったん、ハンドルネームにしよう、と思っています。ハンドルネームであれば完全匿名ではありませんし、実名公開は後からでもできますからね。

4. このブログで何をアウトプットしていきたいか

正直なところ、このブログは、どういうことを発信したいとか、どんな価値を生み出していきたいとか、そんな具体的なビジョンは、ぶっちゃけ固まっていません(笑)。ただ、私が日々興味を持ったことについて、書きたいように書いているだけです。

しかし、それは「まず細かいことはいいから、アウトプットという行為自体に慣れることが優先だ」という考えがあるからです。

中島氏が前作の書籍で書かれていた内容の一つに、「崖を飛び降りながら飛行機を組み立てろ」というフレーズがあります。

あれこれ考えてから行動を始めるより、まず初めて見てから何が正解かはやりながら身につけていく方がすっと効率的だ、という考え方です。

私自身振り返ると、あれこれ考えて結局何もやらずに終わってしまうことが多い人生でした。もしかしたら、それによって見落としてしまったチャンスがあったかもしれません。

反省をするとともに、次からはこうはなるまい、と思わされたフレーズでもありました。

そして、この言葉に影響されて始めたのが、このブログなのです。見切り発車もいいところですが、「まずはとにかく書いてみる」ことを始めてみよう、と思ったのです。

というわけで、今後しばらくは思い付いたことをつらつらを書いていくブログになると思います笑。どういう記事・ブログが高い価値を持っているかとはどうやれば私のブランド力が高まるのかなどは、やりながら考えていくことにします。

5. まとめ

 

途中からはレビューというよりも単なる自分語りになっておりましたが、そもそもこのブログ自体が、中島氏に影響されて作ったモノなので、まあ、それでもいいかなと思っています笑。

むしろ、この本を読んで行動した結果をお話しした、という言い方をすれば、ぎりぎり“書評”の範囲に入らないかな?(厳密には、中島氏のブログにおいて本書と近い内容のことが書かれており、それを読んだのがきっかけだったので、実は前後関係が逆なのですが…)

まとめると、大アウトプット時代を生きる現代人すべてにオススメできる良書でした。これから先の時代を生きるためのヒントが詰まっていました。

本記事ではあまり細かいところまでは触れていませんので、気になった方はぜひ読んでみてください。